『SRサイタマノラッパー』、『AI崩壊』の入江悠監督最新作『あんのこと』が、2024年6月7日(金)より公開されることが決定した。
平時に隠れていた現代社会を覆う格差と分断、対立といった社会の綻びは予想もしなかった未知のウイルスによるパンデミックによって具現化し社会的弱者をまっさきに犠牲にしていった。本作は2020年6月に新聞に掲載された「ある1人の少女の壮絶な人生を綴った記事」に着想を得て描く、実話を基にした人間ドラマ。機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女が、人情味あふれる型破りな刑事や、更生施設を取材する週刊誌記者をはじめとした人々と出会い、その見返りを求めない姿に次第に心を開き、生きる希望を見いだしていく。しかし、微かな希望をつかみかけた矢先、どうしようもない現実が彼女の運命を残酷に襲う―。
メガホンを取るのは『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』、『AI 崩壊』、『22 年目の告白-私が殺人犯です-』などエンタテイメント作品で成功を収める傍ら、『SRサイタマノラッパー』、『ビジランテ』、『ギャングース』で現代社会の問題にスポットライトを当ててきた入江悠。原案となる新聞記事を読んだ入江監督は、その内容に衝撃を受け、その胸が抉られるような現実を、「これはどうしても今映画化したい話だ」と強く望み、映像化に臨んだ。また、製作陣には第75回カンヌ国際映画祭 カメラドールスペシャルメンション賞を受賞した『PLAN 75』のスタッフが再集結し、現代社会のリアルな縮図を描き出した。
主人公の杏には、第14回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞、第44回ヨコハマ映画祭 助演女優賞、第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 新人賞を受賞し、11月3日放送予定の『NHKスペシャル “宗教2世”を生きる』ドラマ編「神の子はつぶやく」(NHK総合)にて主演を務めるなど、若手実力派俳優として頭角を現す河合優実。最悪な家庭環境の中で育ちながらも、心から信頼できる人々と出会うことで、次第に生きることに楽しみを見いだしていく繊細な心の機微を求められる難役を演じきる。
●河合優実(主演)コメント
この映画を作ること、杏のことを演じるということで、何ができるのか、何をすべきなのか、何がしたいのか。繰り返し問いながら、でも彼女と心の中でしっかりと手を繋いで、絶対に離さずに、毎朝、今日もよろしく、いってきますとお祈りして撮影に向かっていました。強く信じながら作った映画です。よろしくお願いいたします。
●入江悠(監督/脚本)コメント
2020年、コロナ禍で大切な人を亡くしました。
すこしだけ注意を向ければその人の苦しみに気づけたかもしれないのに、自分のことばかりで精一杯でした。
時代の移り変わりがどんどん早くなり、多くのことを忘れていってしまうから、この映画を作って刻みつけておきたいと思いました。
旅立った人へ向けて映画を作るという行為が正しいのか今もわからないのですが、鎮魂の気持ちをこめて作りました。
2024年6月7日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開